不動産の名義変更
不動産(土地・建物)を相続する場合には、その不動産の名義を被相続人から相続人に変える手続き(相続登記)が必要となります。
不動産の名義人が亡くなった後に、役所(資産税課など)へ固定資産税の納税通知書の送付先や納税者の変更の届出まではされる方が多いとは思われますが、相続登記による不動産の名義変更まではしておらず、そのまま故人の名義のまま不動産を放っておいているという方は意外に多いのではないでしょうか?
このような状況は、後々思わぬトラブルに発展する原因になりかねません。
相続登記は相続が発生したら早めに行うことが望ましいのですが、遺産相続での不動産の名義変更は、遺産分割協議がまとまってから進めることになります。
不動産の名義変更の流れ
1.遺産分割協議によって、相続財産の分割方法を決定(その内容をまとめた遺産分割協議書を作成)
2.不動産名義変更の必要書類を集める(戸籍・相続人の印鑑証明書・財産のを受け継ぐ方の住民票や戸籍の附票など)
3.登記申請書を作成する
4.法務局に相続登記を申請する
相続登記に必要な書類
どのように遺産分割協議が行われたかによって、相続登記に必要な書類は異なります。
法定相続人が一人の場合、または法定相続分で相続をする場合
・不動産の固定資産税評価証明書
・法定相続人の住民票
・法定相続人の戸籍謄本
・被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本
市区町村役場で取得できます。
遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合
不動産の固定資産税評価証明書
遺産分割協議書
法定相続人の住民票
法定相続人の戸籍謄本
法定相続人の印鑑証明書
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本
協議書は遺産分割協議書をそのまま使用することができます。
申請書の作成
通常は、登記の申請書に収集した必要書類を添付し、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。
書類に不備等がなければ、だいたい1週間ほどで登記が完了しますが、何か不備があれば法務局の登記官より連絡があり、書類の補正をすることになります。
なお、当事務所では不動産の名義変更の申請書の作成は信頼できるパートナーの司法書士が担当します。
また、登記申請をする際には登録免許税という税金が発生します。
登録免許税は、固定資産税評価証明書に書かれている不動産の価格に1000分の4を乗じた価格になります。
不動産に弁済済みの抵当権が付いている場合
相続による名義変更の手続きをしようと登記簿謄本を取得すると、既に弁済済みの抵当権がそのまま残っていることがあります。
抵当権抹消の登記をせずにそのまま放っておいたら、時間が経ちやがて相続が発生してしまったというパターンは少なくありません。
このケースでは原則的に相続登記を入れてその後に新しい名義人の方が抵当権の抹消登記を申請するという流れになります。
抵当権抹消に必要な書類
抵当権設定契約証書(登記済証)または登記識別情報
解除証書
金融機関の登記事項証明書(代表者事項証明書)
委任状
これらの書類はローンの完済時に金融機関等から交付されているはずですが、時間が経ってしまい紛失されている方もいらっしゃいます。
これらの書類の中には再発行が出来ないものもありますし、再発行可能な書類でも手続きに時間と手間がかかるものもあります。
このようにならないためにもローン完済時はすぐに抵当権の抹消登記をしておいたほうが良いでしょう。